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トヨタグループ、豊田自動織機をTOBで非公開化

トヨタグループは、自動車業界が構造的変革期を迎える中で、短期的な業績変動にとらわれず長期的視点での販路・事業拡大を進めるため、豊田自動織機に対する株式公開買付(TOB)を実施する。買付者は、トヨタ不動産(本社:東京都千代田区)が今後設立する特定目的会社(SPC)となる。これは、買付主体がトヨタ自動車となった場合、自動車OEMの意向に支配されるとの懸念を回避するための措置。

買付価格は1株あたり1万6,300円で、TOB発表前日の終値(1万8,260円)に対して約10.73%のディスカウント。買付予定株数は2億2,637万株超で、買付下限は持株比率42.01%相当の1億2,621万株超。総額では約3兆6,899億円の規模となる。

TOB開始は2025年12月上旬、買付期間は20営業日を予定し、公開買付代理人は野村証券が務める。主要株主であるデンソー、豊田通商、アイシンの3社は、今回のTOBに応募する意向を示している。

TOB成立後には、トヨタ自動車(出資額7,060億円)、トヨタ不動産(同1,765億円)、および豊田章男氏がSPCに出資。2026年2月中旬以降に株式併合によるスクイーズアウトを実施し、豊田自動織機の株主をトヨタ自動車とSPCのみに整理。その後、同社がトヨタ自動車の保有する自己株式を取得することで持ち合い関係を解消する方針だ。

全体の買付総額は約4兆6,840億円に上り、グループ再編と戦略的な資本構造の再構築に向けた大規模な動きとなる。