M&A市場の今を知る!最新データで見る日本のM&A件数の全貌

日本のM&A市場の現状
最新のM&A件数データ
日本国内のM&A件数は近年増加傾向にあります。レコフデータによると、日本企業が関与したM&A件数は、2012年以降2019年まで8年連続で増加し、2021年には4,280件、2022年には4,304件と2年連続で過去最多を更新しています。2024年には4,700件と過去最多となりました。2017年時点で年間約3,000件を超えるM&Aが行われていたことからも、需要が持続的に高まり続けていることがわかります。
国内市場とグローバル市場の比較
日本のM&A市場の大きな特徴は、後継者不足を背景とした事業承継型M&Aの多さです。中小企業庁の調査では、2025年までに経営者の約半数(127万人)が後継者未定とされています。この問題の解決策として、M&Aが注目されているのです。また、事業の成長・発展や事業改革を目的とした前向きな戦略的手段としても捉えられています。
こうした背景から国内のM&A件数は増加していますが、案件規模の小型化が進んでいるため、件数の増加に比べて取引総額の伸びは相対的に小さいという特徴があります。
グローバル市場においては、多額の資金を背景にしたクロスボーダー型の取引が活発化しています。世界のM&A市場では大型案件(メガディール)が市場を牽引しており、特に10億米ドル以上のディールが増加しています。
クロスボーダーM&Aは増加傾向にあり、グローバルな経済環境(金利、地政学的リスク)の変化は、日本のM&Aに影響を与えるため、注視が必要とされています。
業界別に見るM&A件数の変化
業界別に見てもM&Aの動向は異なります。特に、医療・介護業界は超高齢社会により需要拡大が見込める一方で、人材不足、経営の赤字、施設の老朽化などの課題があり、既存事業の強化や業界再編を狙ったM&Aが活発です。調剤薬局業界もM&Aが活発な業界の一つであり、チェーン化や異業種からの参入が見られます。
そのほか、IT業界では、DXの加速とIT人材不足(2025年までに約45万人不足予測)を背景に、技術や優秀なエンジニアチームを迅速に獲得する目的でM&Aが活発化しています。
製造業においても、電気自動車化への対応や、AI/IoTといった技術革新への対応のために異業種(IT業界など)とのM&Aが増加しています。また、国内市場縮小を背景に海外市場への進出(グローバル競争)を目的としたM&Aも行われています。
地域別M&Aの傾向
全国的な市場の変化により、地方都市や地域企業間のM&Aが増加傾向にあります。特に地方圏では、中小企業が地域経済の命運を握っており、後継者不在の企業が廃業に至ることなく、経営資源を第三者に引き継ぐことが求められています。
M&Aは、売り手企業の事業継続や事業再編・改革だけでなく、買い手企業の成長、ひいては地域経済の活性化につながると期待されています。
M&A市場を牽引する要因
経済環境とM&Aの関係性
経済環境はM&A市場に大きな影響を与える要因の一つです。
日本では経済の成長が緩やかである一方、グローバル市場では活発な動きが見られることから、日本企業は積極的に海外市場でのM&Aを模索しています。また、国内市場の縮小傾向や将来性への不安から、大企業は海外市場に活路を見出し、海外進出を円滑にする手段としてM&Aの活用が広まっています。クロスボーダーM&A、中でも日本企業が海外企業を買収するIN-OUT型のM&Aは、近年活発化しています。
特に、低金利政策の継続により、資本コストが抑えられる状況が追い風となり、M&Aへの投資が拡大しています。また、景気変動や新型コロナウイルスの影響により業績が悪化した企業は、不採算事業や非中核事業を売却・整理することで経営資源を中核事業に集中させ、財務改善を図る動きが見られます。また、市場シェアの拡大を目的としたM&Aも活発に行われています。
資金調達の新しい潮流
M&A市場を支える重要な要因として、資金調達の多様化とその新しい潮流が挙げられます。特に近年、スタートアップや中小企業向けのファンドが拡大しており、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティファンドが積極的にM&Aを支援しています。
また、日本政策金融公庫による株式の買い取り費用等に対する融資や、信用保証の増枠などの金融支援策が、中小企業の資金調達を後押ししています。そのほか、政府系金融機関が買収元企業と共同で投資を実施することで、M&Aに伴うリスクとリターンを分散し、M&Aの成立を後押ししている事例もあります。低金利環境が続き、企業の資金調達が良好な状況にあることも、M&A投資の拡大の要因になっています。
政府の政策とM&A推進
政府の政策もまた、M&A市場を活性化させる重要な要素となっています。例えば、中小企業庁は、後継者不足による黒字廃業を回避するため、「第三者承継支援総合パッケージ」を発表し、今後10年間で60万者の第三者承継による事業存続を目指す方針を打ち出しています。
また、税制優遇措置や補助金制度を通じて、M&Aを通じた事業再編が行いやすい環境が整えられつつあります。具体的には、M&A時の不動産取得にかかる登録免許税・不動産取得税の減税や、「中小企業の経営資源集約化に資する税制」(設備投資減税、雇用確保税制、準備金積立の損金算入)が創設されました。また、M&Aの仲介料やDD費用などを補助する「事業承継・引継ぎ補助金」も統合・拡充されています。
ほかにも、支援体制の整備として、「事業承継・引継ぎ支援センター」が各都道府県に1カ所ずつ設置されました。また、M&A支援機関の質の向上と利用者の安心を担保するため、2021年8月から中小企業庁所管の「M&A支援機関登録制度」がスタートしています。これらの政策的なサポートは、中小企業だけでなく、大企業による戦略的M&Aの促進にもつながっています。
最新の成功事例に見るM&Aの効果
事業拡大を果たした企業の事例
M&Aを通じて事業拡大を実現した企業の一例として挙げられるのが、日本国内で中堅企業が行った異業種参入の成功事例です。特定の分野に強みを持つ企業が、関連する市場で既存のプレーヤーを買収することで、新たな収益源を獲得し、勢いを増しています。特に、M&Aによって新商品やサービスの幅を広げることで、さらなる市場成長を見込んでいます。こうした事例は近年増加傾向にあります。
事業再編で成功したケース
事業再編の成功事例としては、大手製造業の傘下にある子会社を売却することで、経営資源を集中させた例があります。このようなM&Aのケースでは、事業ポートフォリオを見直し、収益性の高い分野に経営資源を振り向けることが目的とされています。日本のM&A市場全体としても事業再編を目的とした買収と売却が増加しており、その割合が年々高まっていることが示されています。
経営者退職後の円滑な事業移行
日本国内の中小企業では、経営者の高齢化に伴い後継者不足が深刻化しており、M&Aによる事業承継が注目されています。成功事例の一つとして、長年親族経営で続いていた製造業の会社が第三者への譲渡を実現し、円滑な事業移行を果たしました。このような事案は、中小企業庁の支援策や専門機関のサポートを活用することで可能になっています。近年、この分野のM&A件数は増加傾向にあり、多くの企業がこれを一つの解決策として採用しています。
異業種間M&Aによるシナジー創出
異業種間M&Aは、近年特に注目されているM&A手法です。例えば、IT企業が伝統的な製造業を買収することで、デジタル技術と製造ノウハウを融合し、シナジーを創出した事例があります。こうしたビジネスモデルの変革は、競争が激化する市場環境の中で企業が生き残るうえで重要な戦略となっています。異業種間でのM&Aは全体件数の中で占める率が増加しており、これからの成長領域としても期待されています。
今後のM&A市場の展望
今後注目すべき成長分野
今後のM&A市場で注目されている成長分野の一つに医療・介護業界があります。少子高齢化が進む日本において、医療サービスや介護施設の需要が継続的に増加しており、この分野でのM&Aは加速度的に増えていくことが予想されます。また、再生可能エネルギーやDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の分野も注目されています。特に、脱炭素社会への移行を背景に、エネルギー分野では新しいビジネスモデルを構築するためのM&A案件が増加傾向にあります。
M&Aプロセスの効率化とデジタル化
M&Aのプロセスは近年、デジタル化が進んでいます。これにより、従来は時間がかかっていたデューデリジェンスや契約手続きが効率的に進められるようになりました。たとえば、オンラインでのデータルームの活用や、AIを活用したM&A対象企業のスクリーニングが一般化しています。このような技術の進歩は、取引全体の迅速化を助け、コストの削減にもつながっています。
海外市場のトレンドと日本への影響
グローバルな視点では、欧米やアジア市場におけるM&Aの活発化が、日本市場にも影響を及ぼしています。特に、投資ファンドやPEファンドと呼ばれる機関投資家が、アジア地域の成長市場に注目しており、日本企業を買収対象とするケースが増えています。また、国内企業がアジアや欧米市場へ進出するための戦略的M&Aも増えており、グローバル化が進んでいます。これに伴い、日本の企業が地域や業界を超えた連携を深める動きが加速しています。
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