M&A仲介業界の御三家を徹底解剖!トップ3企業の強みと戦略とは

M&A仲介業界の御三家とは?概要と特徴

M&A仲介業界の市場規模と成長背景

M&A業界は、近年、日本国内だけでなくグローバルベースでも注目を集めています。その背景には、日本の深刻な社会課題である中小企業の事業承継問題があります。帝国データバンクが2024年に行った全国「後継者不在率」動向調査によると、2024年の後継者不在率は52.1%でした。こうした中で、M&Aは事業存続や成長のために効果的な手段とされています。

また、2021年には中小企業庁が「M&A支援機関登録制度」を創設しました。これは、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するための制度です。既に3,000件以上のFA・仲介業者が登録しており、業界全体が成長期にあることがわかります。現在、M&A仲介が活況を呈している日本市場ですが、これを牽引しているのが「御三家」と称されるトップ3企業です。

M&A仲介における御三家とは

M&A仲介業界の御三家として知られているのは、「日本M&Aセンター」「ストライク」「M&Aキャピタルパートナーズ」です。この3社は、売上高ランキングでもトップクラスに位置しています

日本M&Aセンターは、御三家の中でも最も古い1991年に設立されました。全国規模のネットワークと業界トップの成約件数(累計成約件数10,000件超)を誇り、業界全体をリードする存在といえます。

ストライクは1997年設立で、国内初のM&A仲介サイト「SMART」を展開し、革新的なサービスを提供しています。

M&Aキャピタルパートナーズは2005年設立と比較的新しい企業ですが、少数精鋭チームによる専門的なアプローチで競争力を持っています。

御三家の中小企業支援における役割

御三家が担う重要な役割の一つが、中小企業支援の分野です。中小企業の多くが抱える事業承継問題に対し、適切な買い手を見つけることで企業の存続を支援しています。

日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズは、特に後継者不足問題へ対応し、多くの企業を救ってきました。ストライクのように革新的なアプローチを持つ企業は、インターネットを活用した効率的なマッチングで、スピーディーかつ柔軟な支援を可能にしています。

こうした御三家の取り組みは、単なる仲介業務にとどまらず、地域経済の活性化や雇用の維持にも寄与しており、社会的にも大きな意義を持っています。

日本M&Aセンターの強みと戦略

トップクラスの成約件数と広範なネットワーク

日本M&Aセンターは、累計10,000件超の成約実績を持っており、年間取扱件数がギネス世界記録に5年連続で認定されています。この実績を支えているのが、同社の広範なネットワークです。日本M&Aセンターは、30年以上にわたり築き上げた全国の地方銀行、信用金庫、会計事務所との広範なネットワークを最大の競合優位性としています。

同社は東京本社、西日本支社(大阪)など国内7拠点を基点に、北海道から沖縄まで日本全国出張ベースで対応し、地方のM&A支援に積極的に対応しています。さらに、地方銀行9割、信用金庫8割、1,076の会計事務所と提携し、地域のM&A情報を収集する国内最大級のネットワークを構築しています。

この地域密着型のアプローチにより、中小企業との信頼関係を深めるだけでなく、事業者のニーズに応じた柔軟なサポートを提供しています。

コンサルタント育成のための社内教育体制

日本M&Aセンターでは、実践的なOJTと豊富な研修を通じて、未経験者でも早期にプロフェッショナルへと育成することに力を入れています。同社のコンサルタント育成プログラムは、専門知識だけでなく、交渉力や人間関係構築スキルも高める内容で、未経験者でも成約に繋げられる質の高さが強みとされています。

M&Aキャピタルパートナーズの強みと戦略

専門特化の強みによる効率的な仲介

M&Aキャピタルパートナーズは、独立系M&A仲介会社で、中堅・中小企業の事業承継支援に特化した支援を数多く手がけています。専任コンサルタントが初期段階から成約まで一気通貫で担当する専任体制を導入し、オーダーメイドなアドバイザリーを提供することで差別化を図っています。また、M&A案件の経験が豊富な会計士や弁護士などの専門チームがあり、サポート体制も強みです。

少数精鋭チームでスピーディーに成約

M&Aキャピタルパートナーズは少数精鋭の会社で、1人当たりの生産性が高いことが特徴です。同社の従業員数は、2021年9月末時点で150名と、日本M&Aセンターやストライクと比較しても比較的少数です。しかし、そのコンパクトさがむしろスピード感や専門性を高めることに寄与しています。

2022年度のデータでは、M&Aアドバイザー1名当たりの売上高は1億4,362万円と、競合他社と比較して高水準であることが示されています。一人当たりの成約件数も業界内でトップクラスです。

透明性の高いコミュニケーション

M&Aキャピタルパートナーズが多くのクライアントから信頼を集める秘訣として、丁寧で透明性の高いコミュニケーションが挙げられます。また、明瞭かつ納得のいく手数料体系(着手金無料、売り手・買い手同一の株価レーマン方式)を採用しており、公正かつ相談しやすい体制を整備しています。

M&Aは買収・売却の成功がすべてであり、そのプロセスでの情報共有や信頼構築は非常に重要です。同社は、クライアントのニーズや課題を深く理解し、それに応じた提案を行うことで、確かな信頼関係を構築しています。

生産性を上げるデジタル戦略

近年、M&A仲介業界では、AI・DXを徹底活用した業務効率化が進んでおり、デジタル化やDX推進を目的としたM&Aも増加しています。M&Aキャピタルパートナーズは、2025年10月にM&Aの企業マッチングを革新するためにSalesforce「Data 360」を導入したことを発表しました。業界動向をいち早く取り入れ、デジタル化・業務改革に取り組んでいることがわかります。

導入の結果、リリース後1年間の目標である「トップ面談創出数」の96.6%をわずか5ヶ月で達成しています。同社は今後もDXの推進によって生産性を向上していく方針を掲げています。

ストライクの強みと戦略

ネットワーク活用で拡大する成約実績

ストライクは、年間275件(2025年9月期)の高い成約実績を誇ります。また、全国の金融機関や公認会計士、税理士と提携する独自のネットワークを強みとしています。同社はM&A仲介サイト「SMART」を運営しており、効率的かつ迅速に買い手と売り手を結びつける役割を果たしています。このように、デジタルツールを積極的に導入することで、他のプレイヤーとの差別化を図りながら市場シェアを拡大しています。

専門的な知見を持つコンサルタント

ストライクは11期連続の増収を達成しています。そんな同社が提供するのは、「事業承継型M&Aコンサルティング」です。公認会計士や税理士などの専門的な知見を持つコンサルタントが、明確なアドバイスときめ細やかなサービスを提供します。専任担当制を導入しており、コンサルタントがM&Aのニーズ聴取から成約まで全てを担う責任者となります。

また、同社は小型~中型の案件に特化しつつ、事業承継型M&Aコンサルティングだけでなく、スタートアップM&A専門チーム「STart」や特許データ活用マッチングサービスなど、多様なサービスを提供しています。専門性の高い案件では、チーム内での緊密な連携と柔軟な戦略を駆使し、クライアントにとって最善の解決策を提案しています。

若い組織文化と独創的なアイデア

ストライクの社員の平均年齢は34.3歳と、若手が活躍しています。同社は既存の枠にとらわれない自由な発想を奨励しており、その成果が新しいサービスや効率的な営業プロセスの構築に繋がっています。「自ら考え、自分で行動して結果を出す」社風がストライクの成長を支え、M&A業界の変化に柔軟に対応できる強みをもたらしています。

次世代のM&A仲介業界の姿を予測

テクノロジーの進化や市場の成熟で大きく変化

次世代のM&A仲介業界は、テクノロジーの進化や市場のさらなる成熟に伴い、大きく変化すると予測されます。オンラインプラットフォームの活用が進む中で、業務の効率化とグローバルな案件対応が可能になります。また、中小企業支援のさらなる拡充や、後継者不足解消のための地域密着型の取り組みも重要な課題となるでしょう。御三家は、自社の強みを最大限に発揮しながら、新たな課題や市場ニーズに迅速に対応することで、これからの業界をリードしていくことでしょう。

記事の新規作成・修正依頼はこちらよりお願いします。