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大成建設、海洋土木大手の東洋建設をTOBで子会社化

大成建設は、海洋土木大手の東洋建設を完全子会社化するため、株式公開買い付け(TOB)を実施する。水素・アンモニアのサプライチェーン構築などカーボンニュートラル関連施設や、洋上風力発電工事など成長分野での連携強化を狙う。

東洋建設の筆頭株主である任天堂創業家の資産運用会社、ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)は、系列投資ファンドが保有する28.53%の全株式を応募する。YFOは2022年にも買収を試みたが、当時は会社側の賛同が得られず断念していた。

買付価格は1株1750円(公表前日終値1700円に2.94%のプレミアム)。買付予定数は7527万8965株、下限は所有割合35.02%にあたる3303万5700株。買付代金は最大1317億3800万円。

東洋建設株を20.19%保有する前田建設工業(インフロニアHD傘下)はTOBに応募せず、成立後に東洋建設が自己株を1株1476円で買い取り、約281億円を支払う。これを含めた総額は約1598億円。

買付期間は8月12日〜9月24日の30営業日で、決済開始日は9月30日。公開買付代理人はみずほ証券(復代理人は楽天証券)。東洋建設はTOBに賛同し、株主に応募を推奨する。成立すれば、東証プライム市場への上場は廃止される見通し。

東洋建設は1929年、阪神築港として兵庫県西宮市で設立され、戦後は海洋土木を主力に展開。1964年に現社名へ変更し、1964年に東証1部上場(現・東証プライム)。2022年にはインフロニアHDによるTOBがYFOの対抗姿勢で不成立となった経緯がある。