塩野義製薬は、日本たばこ産業（JT）から医薬事業を取得する。低分子創薬に強みを持つ両社の研究・開発力を融合し、パイプラインの拡充と医薬品製造体制との連携による事業運営の迅速化を図る。

取得対象は、JTの医薬事業とその傘下にある米国のAkros Pharma Inc.（ニュージャージー州）、および鳥居薬品。JTの医薬事業は2024年12月期の売上高が449億円を見込む。

今回の取得に伴い、塩野義製薬は鳥居薬品に対しTOB（株式公開買付け）を実施する。実施時期は2025年6月中旬を予定し、JTが保有する鳥居薬品株（所有割合54.78％）以外の少数株主（45.22％）を対象とする。TOB価格は1株あたり6350円で、前日終値（5230円）に対し約21.4％のプレミアムを上乗せ。買付総額は約807億円となる。買付期間は5月8日から6月18日までの30営業日、決済開始日は6月25日を予定している。公開買付代理人はSMBC日興証券。

TOB成立後、塩野義製薬は鳥居薬品に資金を提供し、鳥居薬品がJTから自己株式を取得することで、同社を完全子会社化する。これに続き、JTの医薬事業を約53億9700万円で取得し、Akros Pharma Inc.の株式も塩野義の米国子会社を通じて約36億円で取得する。

全体の取得額はおよそ1600億円にのぼり、塩野義製薬は低分子創薬における研究開発力と製造機能の一体化を通じて、医薬品事業の競争力強化を目指す。