オムロン傘下で体温計や血圧計などの健康機器を手がけるオムロンヘルスケア（京都府向日市）は、血圧計の重要部品である腕帯（カフ）の安定調達体制を確立するため、同部品を製造する松屋アールアンドディをTOB（公開買付け）により子会社化する。

血圧計市場では競争が激化する中、需要の中心が中低価格帯へと移行しており、製品の精度や品質を左右する腕帯の安定供給が経営上の重要課題となっていた。松屋アールアンドディを傘下に収めることで、部材供給の安定化に加え、新製品開発の迅速化や生産ラインの低コスト化を進める狙いだ。オムロンヘルスケアは現在、同社株式の14.64％を保有している。

買付価格は1株1110円で、公表前営業日の終値910円に対して21.98％のプレミアムを付けた。買付予定数は1845万9288株、下限は所有割合51.93％に相当する1123万300株で、買付代金は約205億円となる。2026年6月下旬をめどに買付けを開始する予定で、公開買付代理人はみずほ証券、復代理人は楽天証券。

松屋アールアンドディは本TOBに賛同を表明し、株主に対して応募を推奨している。TOB成立後は、同社株式は東証グロース市場から上場廃止となる見通しだ。創業者の後藤秀隆社長ら創業家一族は、保有する合計51.24％の株式をTOBに応募することで合意している。

松屋アールアンドディは1982年に松屋縫製機器販売として創業し、1994年に現社名に変更。2020年に東証マザーズ市場へ上場し、2022年4月に東証グロース市場へ移行していた。