フジテック、スウェーデンの投資ファンドによるTOBを受け入れて株式を非公開化

エレベーター・エスカレーター国内大手のフジテックは、スウェーデンの投資ファンドEQT AB(本社:ストックホルム)による株式公開買い付け(TOB)を受け入れ、株式の非公開化を進める。買付主体はEQT傘下の特別目的会社Bospolder 1(東京都港区)で、買付価格は1株当たり5700円。TOB公表前日の終値6205円に対し8.14%のディスカウントとなる。
買付予定株数は7154万7486株で、所有割合58.30%にあたる4552万881株を下限とする。買付代金は総額4078億2067万円に上る。買付開始時期は2026年1月を予定しており、公開買付代理人はSMBC日興証券が務める見通し。
フジテックでは創業家と、約3割の株式を保有する香港のアクティビストファンド、オアシス・マネジメントとの間で経営方針を巡る対立が続いていた。今回の非公開化により、オアシスの影響力を排除し、経営の安定化を図る狙いがあるとみられる。
一方、EQTは製造・保守を含む工業分野を投資の重点領域とし、フジテックの高いブランド力と海外市場での成長余地に着目。2024年5月にフジテックが発表した中期経営計画「Move On 5」にも高い評価を示し、グローバルネットワークやデジタル分野での強みを生かしながら、同計画の実行スピード加速やM&A戦略の支援を目指すとしている。
フジテックはTOBに賛同する一方、応募の可否は株主の判断に委ねると表明。TOBが成立すれば、同社株は東証プライム市場から上場廃止となる見通し。
同社は1948年に富士輸送機工業として創業。1970年に東証2部へ上場し、1974年に東証1部(現・プライム市場)へ市場変更、同年に現社名へと改称している。