TAC、MBOで株式を非公開化

資格取得支援を手がけるTAC(資格の学校)は、事業環境の大きな変化に対応するため、株式の非公開化を決定しました。背景には、以下のような課題があります:
- 対面授業からオンライン講義へのシフト
- 低価格を武器にした新興企業の台頭
- 少子高齢化による国内市場の縮小
TACは、教育コンテンツのデジタル化やAIの活用を加速するには、短期的な業績に左右されない柔軟な経営体制が必要と判断。非公開化によって経営判断の迅速化と施策の実行力強化を目指します。
TOBの概要
TOBは、創業家出身で常務取締役の齋藤智記氏が設立した買収目的会社**JPEC(東京都目黒区)**が実施します。
- 買付価格: 1株350円
(TOB公表前日の終値234円に対し49.57%のプレミアム) - 買付予定数: 1,153万8,332株
- 下限: 549万3,700株(発行済株式の30.30%)
- 買付代金: 約40億3,800万円
- 買付期間: 2025年8月7日~9月19日(30営業日)
- 決済開始日: 2025年9月29日
- 公開買付代理人: 大和証券
TOB後のスキーム
齋藤氏の資産管理会社ヒロエキスプレス(東京都目黒区)は、保有するTAC株36.37%についてTOBに応募しない予定です。
TOB成立後は以下の手続きを経て、完全非公開体制に移行します:
- 齋藤氏がJPECの全株式を1万円でヒロエキスプレスに譲渡
- JPECがTACを吸収合併
- ヒロエキスプレスがJPECを完全子会社化
この一連のスキームにより、TACは実質的に創業家の完全支配下に入り、非公開企業として再スタートを切ることになります。