太平洋工業、MBOで株式を非公開化

自動車部品メーカーの太平洋工業は、経営の中長期的な機動性を高めることを目的に、**マネジメント・バイアウト(MBO)**を実施し、株式を非公開化する方針を明らかにした。
主力製品は、タイヤバルブやバルブコア、カーエアコン用各種バルブなど。自動運転や電動車といった次世代モビリティーに対応する技術革新が求められる中、短期的な業績や株価に左右されず、積極的かつ柔軟に経営判断を行う体制の確立が必要と判断した。
TOB(株式公開買い付け)は、社長で創業家出身の小川哲史氏が設立したCORE合同会社(岐阜県大垣市)が実施する。買付価格は1株あたり2,050円で、TOB公表前日の終値(1,461円)に対し40.31%のプレミアムを上乗せ。買付予定株数は5,520万9,117株で、買付下限は62.02%にあたる3,584万1,900株。買付総額は最大1,131億円を見込む。
創業家の小川信也会長、哲史社長、ならびに関係する財団は合計で4.65%の株式を保有しているが、大半はTOBに応募しない予定。
買付期間は2025年7月28日から9月8日までの30営業日、決済の開始日は9月16日。公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券(復代理人:三菱UFJ eスマート証券)が務める。太平洋工業はTOBへの賛同を表明し、株主に対して応募を推奨している。
同社は1930年、タイヤ用バルブコアの製造を目的に設立。1962年に名証2部、1963年に東証2部に上場し、1970年には東証1部・名証1部へ指定替え。2022年4月には東証プライム市場および名証プレミア市場へ移行している。